「ちゃん。」
お風呂上りに呼びかけられ、何か用だろうかと思って渚の方を向いた瞬間、
両手をつかまれ、そのまま押さえつけられた。
「しよ?」
満面の笑みでそう言った渚。
・・・嫌な予感しかしなかった。
「や・・・・ぁっ・・・・・・・・・」
胸を、Tシャツの上から撫でられる。
撫でられるというよりは、弄られるという方が正しいかもしれない。
「ちゃん、もうここ、かたくなってる。」
先端を引っかかれるときの甘い痺れに惑わされ、私は首を振るのが精一杯。
「気持ちいい?それとも、痛い?」
私の目をまっすぐ見て、渚は尋ねる。
その間、少し弱まったとはいえ、手の動きを止めてはくれない。
―嫌なの?教えてよ、ちゃん。
そんな、寂しそうな、置いていかれた仔犬みたいな顔で渚が言う。
「い・・嫌じゃ・・・ないけど・・・」
「けど?」
―恥ずかしい?
口元に笑みを浮かべながら、渚が訊く。
その顔に、鳥肌が立った。
恐怖でも、驚きでもない、ゾクリとする感覚が、一瞬身体を通り抜ける。
「恥ずかしがってるちゃんも、大好きだよ。」
「私も、好きだよ。なぎ―
言い終わる前に、唇を奪われる。
渚の舌が、唇を割って、中に入ってくる。
追いかけてくる、食らいつくようなキス。
手は、私もからだに触れたまま。
その一点一点から、渚の熱が伝わってくる。
「・・・・っぁ・・・」
「・・ふ・・・っ・・・・」
漏れる吐息。
渚だって―私ほどじゃないにしろ―苦しいはずなのに。
酸素よりも、互いを求め合う。
もっともっと、触りたくて、触って欲しくて、
渚の近くにいきたくて。
手を伸ばして、髪に触れる。
渚ば一瞬ビクッと驚いたようだけど、そのまま、触れることを許してくれた。
「ちゃん。このまま・・・いい?」
いいよ。という代わりに、私は目を閉じた。