2時間目、数学。

定期テスト前の自習時間。

時刻は、10:50分を回った頃。

窓の外の目を向ければ、薄暗かった空からは勢い良く雫が降り注いでいた。




自習時間なんて、本当に時間の無駄だと思う。

教室を見回しても、まじめに問題集を開いているのが4割

携帯をいじっているのが3割

寝てるのが2割

何もしてないのが1割



自分の行動は、その1割のうちの1人だった。

何をするわけでもなく、ただ、クラスメートの様子を見ているだけ。


―テストが終わればもう夏休み、か。

ということは、もう3ヶ月程彼らと過ごしてきたことになる。


何か、『思い出』となるようなものはあっただろうか。


驚いたことといえば、あの竜ヶ崎が陸上部を辞めたことくらいか。

期待されてるって話だったのに。

勿体無い。

陸上部辞めて、その後は確か水泳部に入ったんだっけ?

なんでまた。

新たなる挑戦、ってやつ?


当の本人は、黙々とシャーペンを動かしている。


きっと真剣な顔で、何事にも取り組むタイプなのだろう。

放課後、彼はプールに行くのだろう。

水の中でも、きっと真面目な顔なんだろう。




彼のために、この雨が止めばいいのに、と思った。